設計工務の 櫻井 和樹です。

前回はパッシブハウスの5原則の一つである「断熱」について紹介しました。
今回は気密について紐解いていきます。
どれだけ高性能な断熱材を使っても、それだけで暖かく涼しい家になるわけではありません。
もうひとつ、とても重要なのが、
「気密」
です。
断熱と気密は、どちらか一方だけではなく、セットで考える必要があります。
今回は、
- 気密とは何か?
- C値とは何か?
- 日本の住宅に気密の基準はあるのか?
- パッシブハウスではどれくらいの気密性能を求めるのか?
- なぜ高気密住宅が必要なのか?
- どうやって気密性能を確認するのか?
について、できるだけ分かりやすく解説します。
また、パッシブハウス挑戦ブログは下記より
そもそも気密とは?
簡単にいえば、
「家にどれだけ隙間があるか」
ということです。
住宅は、壁・床・天井・窓・ドア・配管・電気配線等々、たくさんの部材からつくられています。
これらの取り合いや外部との貫通部に隙間があると、そこから空気が出入りします。
例えば冬。
室内を暖房していると、暖かい空気が家の隙間から外へ逃げてしまいます。
逆に、冷たい外気が隙間から室内へ入ってきます。
つまり、
断熱材で熱が逃げるのを防いでも、隙間から空気が出入りしてしまえば、せっかくの断熱性能を十分に活かせません。
さらに例えると、
真冬に高級ウールがたくさんはいった暖かいダウンジャケットを着ているとします。
(肌が出ている部分をお家の隙間に例えるとすると)
前のチャックを開けっ放しであるくより、閉めた方が暖かいですよね?
また手袋やマフラー、ニット帽…
肌を隠せば隠した分暖かいはずです。
これが気密の大切さ。
いかに高級ウール(断熱材)だろうが、チャックを閉めないと(気密が良くないと)
本来の性能は発揮されないのですね。
C値
住宅の気密性能を表す代表的な数値が、
C値(相当隙間面積)
です。
C値は、
住宅の床面積1㎡あたりに、どれくらいの隙間があるのか
を表した数値です。
単位は、
cm²/m²
そして、C値は、
数字が小さいほど気密性能が高い
ということになります。
例えば、
C値5.0
床面積100㎡(約30坪)の住宅なら、
5.0 × 100 = 500cm²
(すべての隙間を合計すると、約22センチの正方形の面積に相当)
の隙間があるというイメージです。
一方、
C値0.5
なら、
0.5 × 100 = 50cm²
(すべての隙間を合計すると、約7センチの正方形の面積に相当)
です。
同じ100㎡(約30坪)の家でも、
C値5.0とC値0.5では、隙間の大きさが10倍違います。
この違いは非常に大きいものです。
日常で例えます。
水がいっぱいに入った大きなバケツがあったとします。
22センチ角の穴があるバケツと、7センチ角の穴があるバケツ
どちらが早く水がなくなりますか?
バケツがお家、水がエアコンで温めたり冷ました空気だと思ってください。
あなたのお家、エアコン(水)を止めたときにすぐ外気温に近づき(空っぽに)ますか?
日本の住宅に「C値の基準」はある?
結論としては、2026年10月現在
日本の省エネ基準ではC値の基準は定められていません。
だからこそ、住宅会社によって
気密性能に対する考え方に差がでています。
実際、私の実家も数年前に某大手HMで建替えを行いましたが
コンセントから気流や
レンジフードを回すと隣の引き戸の隙間から風がくるといった現象が
実際にありました。。。
そもそも気密はどうやって測る?
気密測定は下の写真のような機械を用いて測定することが多いです。

このバズーカーの様な測定機器を用いて中と外に圧力差をかけます。
その圧力差から相当隙間面積を求めていきます。
日本では減圧方式と呼ばれる中を負圧にして
測定する方法が一般的です。
パッシブハウスではどれくらいの気密性能を求めるのか?
そもそもなぜ気密が必要なのかを改めて確認します。
パッシブハウスは大切な5原則があります。
断熱の話は最初に記載した通りですが5大要素の中に”換気”があります。
この換気計画がとても重要になります。
気密と換気、全然違うことだと思う方もいるかもしれませんが
実は密接に関係しています!

横軸がC値の値、縦軸が隙間給気量の割合(言い換えるとお家の中に隙間風がどれだけ入るか)
になります。
C値が5.0の場合、約85%が隙間風、C値1.0の場合、約50%が隙間風という見方になります。
いくら換気計画が完璧でも気密が悪いとほぼ隙間風で換気しているという事になります。
パッシブハウスは換気風量で冷暖房エネルギーを建物全体に届けることができる
ことが非常に大切になることから気密も大切になります。
パッシブハウスの気密性能
パッシブハウスの気密検査は
減圧方式に加えて加圧方式も行います。
減圧はいつも通りですが、加圧は特に玄関ドアから空気がもれやすいので
玄関ドアや窓の気密性能も大切になっていきます!
またここでは漏気回数というものも併せて測定していきます。
漏気回数
漏気回数とは屋内と外部との圧力差を50Pa(パスカル)にしたときに、
建物内の空気が1時間に何回入れ替わる程度の隙間があるのか
ということを表しています。
ということは換気計画をしっかり行った住宅にとっては漏気回数の数値が小さい方が有利
ということが分かりますね。
パッシブハウスの基準では漏気回数が0.6回/h以下にすることが決められています。(2026年10月現在)
分かりやすくC値に換算すると大体0.2程度になるかと思います。
※建物の容積や床面積、測定条件がことなるため直接C値換算はできませんが、あくまで目標値です
nikodeが考える【気密】
日本の現在の規格ではC値が決められていないことは
意外と知られていない事ではないでしょうか?
決められていないから気密処理しない・測らない
は勿体ないのが分かったかと思います。
nikodeでは、
「高気密にすること」そのものを目的にはしていません。
高気密は既に当たり前。
その当たり前がどうして当たり前にやらないといけないのか
気密を高める意味が社内で共有されているからこそ当たり前になっています。
断熱性能を高めた住宅の性能をきちんと発揮させ、
- 冬に暖かい
- 夏に涼しい
- 温度ムラが少ない
- 計画的に換気できる
そんな住まいを実現するために、気密性能を重要な要素としてかんがえています。
だからこそ、
「高気密です」という言葉だけで判断するのではなく
どのような施工を行い、どのように性能を確認しているのか。
それが永く快適にくらせる家づくりにつながると考えています。
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