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スタッフコラム 2024.01.24

耐震について考えてみる。

この度、令和6年能登半島地震で震災の被害にあわれました皆さまには、心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興再建をお祈りいたします。

改めて、地震に強い建物の重要性を感じましたのでブログにてまとめさせて頂きます。

まず初めに耐震と制震について、簡単にまとめました。

耐震とは

簡単に言うと揺れに耐える事。耐震は、構造体の強さがそのままの性能の良し悪しになります。
木造住宅では、柱を太くすれば家自体も強くなると思われがちですが、実はそうではありません。

耐震性能は柱だけではなく耐力壁の強さで決まります。また耐力壁の配置のバランスも非常に重要になってきます。

制震とは

地震の揺れを吸収し地震による揺れを小さくすること。高層ビルやタワーマンションといった高い建物では上階ほど揺れが大きくなりますが、制震構造を採用することで、上階における揺れの増幅を緩和できます。また繰り返しの地震にも強い構造になります。揺れないことは、建物にダメージが蓄積されないため長く耐震性能を維持することが可能です。

耐震の歴史

これまで何度も大きな地震を経験してきた日本ですが、耐震に関する法律ができたのが実はつい最近の1924年(大正13年)です。市街地建築物法に「耐震規定」制定 (世界初の耐震規定)

日本の法律は604年に聖徳太子が制定したといわれる十七条憲法を皮切りに630年遣唐使により今の中国(唐)の法律である律令法を継受したといわれています。これが法律の始まりと考えると、耐震の法律ができたのはそこから1300年弱後になります。地震が多いのにもかかわらず、なかなか耐震に関する法律ができていなかったというのが分かりますね。。。

大正13年から始まった耐震の法律ですが、第1次世界大戦、第2次世界大戦が勃発。戦時中も大きな地震に日本は見舞われています。

●1943年(昭和18年)9月 鳥取地震(M7.4)

●1944年(昭和19年)12月 東南海地震(M8.0)

●1945年(昭和20年)1月 三河地震(M7.1)

●1947年(昭和21年)12月 南海地震(M8.1)

● 1948年(昭和23年)6月 福井地震(M7.3)

1947年を除いて毎年のようにマグニチュード7.0以上の地震が相次いで発生していました。

これを受け1950年(昭和25年)に「建築基準法」が制定されるようになりました。(旧耐震基準)

これによって市街地だけではない全ての「建築物」に法律の定める基準というものが出来ました。

● 1978年(昭和53年)6月 宮城県沖地震(M7.4)

この頃にもなると近代建築の波が日本にも到来し、木造だけではなく多くの鉄筋コンクリート造(RC造)の建物が増えてきました。建物の構造が変わっていく中、この地震でRC造にも被害が生じ、のちの改正に大きな影響を与えることとなりました。

■1981年(昭和56年)「建築基準法」が大はばに改正。新耐震設計法制定

一次設計、二次設計という概念がつくられたのもこのタイミングになります。

時代は平成になり、記憶にある方も多いと思います。

●1995年(平成7年) 1月 阪神淡路大震災(M7.2)

木造家屋(老巧家屋)の倒壊による死者多数。高速道路が倒れている記事、ニュースは大きく報道されました。新耐震設計法で設計された建物の被害は少なかったみたいですが、震源地に近い地域では新耐震基準の建物でも大破・倒壊する建物も多く発生したそうです。

同年「建築基準法」が改正

●2000年(平成12年) 「建築基準法」が改正され現在に至ります。

現在の建築基準法の中の現行の耐震基準の考えは地盤を考慮した基礎設計や、建物の基礎部分と柱の接合部に取り付ける金具、耐力壁と呼ばれる壁の配置などが定められ、新耐震基準の建物より地震に強くなっています。

日本の耐震化の状況

日本人は古くから、もったいない精神が宿っています。その精神はとても素晴らしく日本人の自慢ポイントでもあると思いますがそのためか、親から譲り受けた古くなったお家に住まわれている方も多いかと思います。譲り受けたお家が1981年6月以降に建築されたものならまだいいですが、それ以前の建物に住まわれて、耐震補強をされていない方は2018年で住宅全体の約13%もなります。

都道府県別でみると、

岐阜:耐震化率71% 目標:90%

愛知:耐震化率82% 目標:90%

となっています。岐阜は特にまだまだ目標には届いていませんね。ただしこの目標値はあくまで1981年に制定された新耐震基準になり、現行の耐震基準ではありません。

※国土交通省データより

現行の耐震基準

現行の耐震基準では耐震等級という考えが取り入れられました。これは施主に判りやすい耐震性の判断基準です。その耐震性能は等級1から等級3まで3段階に分けて表されます。

耐震等級1

建築基準法で定められている最低限の耐震性能を満たす水準になります。 いわゆる「新耐震基準」

・数百年に一度程度の地震(震度6強から7程度=阪神・淡路大震災や2016年4月に発生した熊本地震クラスの揺れ)に対しても”倒壊や崩壊しない”事
・数十年に一度発生する地震(震度5程度)は住宅が損傷しない程度


着目する点は”倒壊・崩壊しない”ということ。これは「倒壊・崩壊はしないが、一定の損傷を受けることは許容している」という意味になります。住宅が倒壊すれば命にかかわる問題になりますがその後で補修や、損傷の程度によっては建て替えが必要になる可能性があります。但し、事実として、阪神淡路大震災の震源に近いエリアの住宅は新耐震基準を満たしている住宅でも倒壊・崩壊した住宅は多かったということ。。。

現在の建物は耐震等級1は最低条件で建てられていますが、どうでしょうか。実際に震災にあった時のことを考えると倒壊はしていなくても到底住めないのではないでしょうか?

耐震等級2

耐震等級1の1.25倍の地震に耐えられる耐震性を持った性能になります。改正前の長期優良住宅の耐震性能の条件でもあったので、少し前までは耐震等級2あれば十分と考えていた方が多いと思います。しかし現在の長期優良住宅の条件は耐震等級3が条件となり、2では不十分という結論になっています。また街中の耐震等級2の建物は災害時の避難場所にもなる、学校は耐震等級2になります。

耐震等級3

耐震等級1の1.5倍の地震力に耐えられるだけの性能・耐震強度水準です。住宅性能表示制度で定められた耐震性の中でも最も高いレベルであり、一度大きな地震を受けてもダメージが少ないため、地震後も住み続けられ、大きな余震が来ても、より安全です。現在の長期優良住宅の条件となります。街中の耐震等級3の建物は災害時の救護活動・災害復興の拠点となりきちんと機能しないといけない消防署・警察署になります。

これからのお家

これからの住宅は耐震等級3は最低条件だと思います。

しかし我々nikodeは耐震等級3だけでは不十分だと考えています。そこに+制震構造を採用することで最大限の耐震性能を発揮できると考えています。

また日本は世界でも有数の地震国です。折角、高いお金をだして購入したお家が地震が来て倒壊・損壊して住める状態ではなくなる。まだそれだけならいいのかもしれません。自分の家が倒れ、道をふさぎその先に助けを求める人のところに救助隊が入れない。そういうケースが日本では多いと思います。これは一個人の問題ではなく、日本社会の問題でもあると考えているため、この先住宅を建てる方には最低限として耐震等級3は必ず取得している住宅を建てて頂きたいと考えています。

nikodeでは耐震等級3と制震構造を標準採用しております。特に制震構造は制震テープ工法を採用しています。

制震テープ工法とは

アイディールブレーン株式会社の制震テープを弊社では採用しております。高層ビル用に開発された粘弾性体を両面テープ状にしたものを、柱・梁と家の外の面材の間に挟み込むことで大地震時の損傷を極限まで抑える住宅用制震システムです。この粘弾性体は耐久性とエネルギー吸収性に大変優れており、強度が強すぎて一般住宅には不向きな材料でしたが開発が進み住宅に適合するものが出来上がりました。
一軒のお家で約約500m以上の長さの制震テープを家全体にバランス良く配置することで「住宅まるごとダンパー」にします。よく制震ダンパーを採用しているお家を耳にしますが、制震テープを採用したお家は一般的な制震住宅の10倍以上のエネルギー吸収量に相当するそうです。

より詳しく知りたい方は下記HPをご覧ください。

制震テープ® | 住宅まるごとダンパーにする | アイディールブレーン株式会社 (ibrain.jp)

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